2012
    07.27

    「スラムダンク。桜木花道の天才っぷりを考える」

    バスケットマンは一日にして成らず。
    ハマの三文芝居です。

    桜木花道といえば、漫画史上有数の天才……とまでは言いませんが「天才ですから」というセリフで知られる有名な天才キャラクターです。

    最初こそ、ダンクしようとしてボードに頭をぶつけたり、ルールも知らずにスライディングでボールをとろうとしたりしましたが、たったの4ヶ月で、超高校級のバスケットマンに成長しました。
    桜木花道は、間違いなく天才でしょう。

    しかし、その道のりを思い出すと、決して簡単でなかったように思います。
    入部当初は毎日、体育館のスミでドリブル、ボールハンドリング、パスといった基礎練習をやらされ、部内の練習試合ですらチラッとしか出してもらっていません。
    いざ試合に出られるようになっても、すぐ5ファウルで退場してしまいます。
    天才っぷりを評価されるどころかバカにされてばかりでした。

    安西監督とジャンプシュート10本勝負した時もそうでした。
    桜木花道は、みっともないフォームで10本シュートを放ち、全て外しました。

    ちなみに私は、遊びでしかバスケはやっていませんが、ジャンプシュートは3割は入れられます。才能のある人であれば、初めてでも半分以上は決められるのではないでしょうか。


    …………あれ、私たちの方が天才ですか?


    桜木花道は、山王戦に進んだころですら、スリ足を試みてトラベリングをとられていますね。
    ダブルドリブルも、とられています。

    あの姿は、どう見ても天才ではありませんね。不器用です。
    というか身体能力が高いだけのバカです。

    改めて考えてみると「天才ですから」と言うから桜木花道を天才だと思っただけで、本当は違うのかもしれません。
    桜木花道は、やる前こそ自信に満ち溢れていますが、その通りに出来たことは作中一度もありませんね。
    庶民シュート。リバウンド。ゴール下のシュート。合宿シュート。
    いつだって、桜木花道は練習をして、技術を身につけています。


    先ほど、私の方が~~などと偉そうなことを言いましたが、桜木花道はたったの10日間でジャンプシュートを習得しましたね。私には逆立ちしても無理です。
    もし桜木花道の真似をして、10日で2万本練習したところで、1本1本集中していられるわけもなく、急激に成長することはないでしょう。

    また先ほど、私はジャンプシュートを3割は入れられるなどと言いましたが、それはフリーで打った時に限られます。友人にディフェンスとして入ってもらうと、成功率は驚くほど下がるものです。
    どのくらい下がるかを言うと、ヘトヘトになるまで打っても1本しか決められなかったくらいですね。

    ディフェンスされていたのなら仕方ない、と思われる方もいるでしょうが、友人のディフェンスは声を出しながら両手を挙げているだけでした。たったそれだけのことでも力みが生じて、シュートは入らなくなるのです。
    しかし桜木花道はすぐ試合でジャンプシュートを決めました。

    2万本合宿の時、桜木花道は寝る間も惜しんで、友人が撮影してくれたビデオを見返し、自分のフォームをチェックしていました。
    その時に桜木花道は、こんなことを言っています。

    「もーちょっとボールは高く上げた方がいいかな……明日オヤジに聞いてみよう」

    おそらく桜木花道は実戦を想定しながら練習していたのでしょう。
    "自分がシュートする時に、相手はどう動くのか?"
    と考えながら練習するのは、並大抵のことではありません。


    桜木花道は、作中で何度も、早起きして一人朝練を行っています。
    それは山王戦の前にもありました。
    ひとりでジャンプシュートの早朝練習をする桜木花道は、シュートが入る時と入らない時の違いを確信します。

    桜木はいつだって、何かをやる前から自信を持っていて、それを練習によって完璧なものにしているのです。
    安西監督もおっしゃってましたが、桜木花道に怖いものなどありません。

    晴子さんが「普通の人は各駅停車だけど、桜木くんは新幹線って感じ、うらやましい」と言いましたが、それは練習によって支えられているわけです。


    ど、努力家ですね……


    山王戦直前、みんなが緊張している中、桜木花道がボールを持ってブツブツ言うシーンがあります。
    「ほっ、と見せかけてドリブルでかわす、合宿シュウ。さらにこれを2回くりかえしダブルフェイク」
    これはダブルドリブルというファールで、試合中にやっちゃってます。しかし今考えると、桜木花道がイメージの中でも練習していることがよくわかる素晴らしいシーンですね。


    桜木花道は、山王戦の後半、追い詰められ、敗北の2文字が頭をよぎったときに、安西監督によってベンチに下げられました。代わりに出たのは小暮くんです。トーナメントである以上、負ければそれが3年生の引退試合になるからです。
    しかし安西監督はあきらめてはいませんでした。桜木花道にオフェンスリバウンドの重要性を説き、チームメイトは手にボール吸いつく念を込めて、桜木花道をコートにもどすのです。

    「不思議と迷いはなかった。やるべきことが1つに絞られたから。こんな風に誰かに必要とされ、期待されるのは初めてだったから……」

    桜木花道は、たぶん天才でしょう。
    さまざまな才能を持っているような気がします。
    しかし、そのほとんどは練習によって支えられ、開花したものです。

    田岡茂一監督は、陸南高校の魚住に対して次のように言っています。
    「でかいだけ? 結構じゃないか。体力や技術は身につけさすことはできる……だが……お前をでかくすることはできない。たとえオレがどんな名コーチでもな。立派な才能だ」

    桜木花道は身長が190センチ近くもあり、バネもあります。
    これは立派な才能でしょうが、もし私のような本の虫になっていたら……むしろ欠点になっていたのではないでしょうか。


    基礎練習を文句を言いながらもこなし、ひとりで朝練をして、試合中もシロウトながらに活躍するにはどうすれば良いのかを必死で考え、全力を尽くす。
    スラムダンクを名作たらしめたのは、努力家桜木花道が主人公だったからだと思います。

    スラムダンクを読んで「バスケがしたいです……」となった読者は、きっと私だけではないはずです。そして「やればできる!!」とも思わせてくれる作品でしょう。

    最後に、私が一番好きなやりとりをあげて、終わりたいと思います。

    「オレはバスケットをやる」
    「なにィ……なぜだ!!」
    「バスケットマンだからだ」

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