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    2014
    09.03

    ムーンパレス

    独白スタイルの本を読んだのは、すっごい久しぶりでした。
    たぶんグレートギャッツビー以来ですね。

    そして、こいつは「とんでもねぇ本」です。
    とにかく淡々と、激情も哀願もなく、人生が語られています。
    こんなに読者と温度差のある本は初めてだーよー!!

    しかし心地良い文章でした。
    私が今まで読んだ本の中に、ムーンパレスに近い作品はないと思います。

    なぜか「良い経験をした」と思えるような本でした。


     ムーン・パレス (新潮文庫)



    ≪あらすじ≫
    僕<マーコ・フォッグ>は、コロンビア大学へ通い、1000冊以上の本を抱えて暮らしていた。しかし、ずっと読まずに過ごしていた。
    それらはビクター叔父さんの本だった。そしてビクター叔父さんは唐突に亡くなった。
    1967年の事だった。

    すでに母であるエミリーを失っていた僕には、もう血縁者は残されていなかった。
    父親など、初めからいなかったから。

    僕は、ビクター叔父さんが遺してくれた本を片っ端から読んだ。
    そして読んだ本から売り飛ばしていった。
    この頃の僕は、ひどく金に困っていた。
    僕は、絶えず空腹を感じ、食べ物の夢を見た。

    そんな頃、キティに出会った。
    その出会いは、少なくとも良い出会いとは言えなかったと思う。しかし、そのおかげでキティは、僕のアパートまで来てくれた。
    「あなたの身が危ないと思ったから、そして他人をあんなに気の毒に思ったのははじめてだったから」
    そして実際に、僕は命を救われた。

    やがて僕は、車椅子生活を送る老人の家に住込み、働くようになる。
    その老人は、トマス・エフィングという名で、86才には見えぬほど老いぼれていた。そして盲目だった。

    しかし時に、盲目ではないかもしれないと思わせた。
    毎日、変わった眼鏡をかけたり、布を巻いたり、そういう風にして僕をからかうのが好きな人らしい。
    そして、それは嫌がらせの域にまで達していた。

    トマスは、怪物であり、と同時に善人としての尊敬しても良いと思える人物としての要素も備えていた。それ故、彼を徹底的に恨む事は不可能だった。

    ある時、僕が大昔に母を失くした話をすると、トマスも大切な友人を失った話をしてくれた。
    そしてトマスは、自分の死亡記事を書くと言い出した。
    トマスは、自分という物語を話し、僕に記録させた。
    トマスは、無駄な結婚をした事や旅をして友人を失った事。人殺しをして洞窟で暮らしていた事や自分の死亡記事が世に出て、違う名前で人生を送り直したなどと語った。

    どうやらトマスには、名前を変える前にできた息子がいたようだ。
    トマスは、ソロモン・バーバーという名の息子に、遺産を相続させたいらしい。その為の死亡記事だ。

    その死亡記事が完成すると、トマスは金を他人に配ると言い出した。
    そして雨の日に、老体に鞭を打って強行し、体調を崩した。
    トマスは、そのまま亡くなった。

    その日は、死亡記事を書く時に語った自分の予告死亡日だった。

    僕は、ささやかな大金を報酬として受け取り、生前にトマスが臨んだ事に尽力した。
    しかし、多くの事は叶わなかった。

    僕は、ソロモン・バーバーを探し出し、話をした。
    その中で、ソロモンが僕の母の知り合いであると判明した。そして、それは明らかに、ソロモンが僕の父親である証明でもあった。
    しかし僕は、それを言葉にして追及しなかった。
    僕は、ソロモンと別れ、キティとの生活に戻った。
    その後キティは妊娠し、中絶し、僕は家を出た。

    僕は、祖父であるトマスが暮らした洞窟を探す旅に出た。

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    ≪感想≫
    それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。
    これが最初の文でした。

    私は「水溶性の文章だな」と感じましたね。
    訴えかけてくるよりも、心へ溶けてくるような、そんな文体だと感じました。
    そして、きっと悲しい愛の話だろうとか予想してしまいましたね。

    一応、私の予想は当たりました。
    これは、とても良い事だったと思います。
    以前、百田尚樹さんが「冒頭の文章は、結末を予感させるものでなくてはならない」とおっしゃっていました。
    まさに、それを実現している素晴らしい作品だったと思います。

    そういえば自分の苗字に「鳥:FOGEL」が隠されていると知って、マーコが良い気分になるシーンがありました。
    アメリカでは、こういうのは珍しい事なんでしょうね。
    日本では、大体なにかの意味があって名前を付けますよね。
    カッコイイ苗字もあります。

    私は普通の苗字ですが、自分のフルネームは気に入ってますし、意味も好きです。
    そして、それに従って生きているつもりです。
    ……っていうかアメリカ人って、どんな基準で名前を付けてんでしょうかね。
    謎です。


    ビクター叔父さんは言いました。
    「人はみな自分の人生の作者だからね」

    すっごく胸にきた言葉でした。
    「アルケミスト」でも描かれていましたが、自分の人生を書く手は自分です。
    幸せにするも、不幸にするも、自分次第ですね。
    それでこそやる気が出るってもんです。

    そんなビクター叔父さんは、
    「いま」と「将来」を天秤にかけた時に、いつだって「いま」を選んだそうです。
    これは、ちょっと悲しいですね。
    でも仕方のない事です。


    この本には、いくつか私にとって「驚くべき事」が書かれていました。
    それは私の常識や日常を、根本から覆す。
    というか人生観の再構築を求められているような恐るべき思考でした。
    ぶっちゃけ、読んでなかった事にしたいくらいです。
    でも、目を背けられない。
    いや背けてはならないと世界全体が私に働きかけているような気さえしてきます。

    ムーンパレスを読んでいない人生よりも、ムーンパレスを読んだ人生の方が必ず良いと言えるような本だったと思います。


    「まったく何も考えないのがいちばんだが、それが無理なら、自分の目の事を考えるようにしたまえ。自分に与えられた、世界を見る驚くべき力の事をだ。目が見えなくなってしまったらどうなるか、考えてみたまえ。あるひとつの物を、いろいろな光の下で見るところを想像してみたまえ。日光、月光、電球の光、蝋燭の光、ネオンの光、世界を目に見えるものにしてくれるもろもろの光の下で、その物を見るところを想像するんだ。なるべく簡単な、ありふれた物が良い。石とか、小さな木片とか。いろいろ違った光の下に置かれると、それがどんなふうに変わって見えるか、じっくり考えるんだ。何も考えないのがいちばんいいが、何かを考えにゃならんのならそういうことを考えて、それ以上は何も考えるな」
    というセリフが出てきます。
    トマスさんのセリフでしたね。

    私は、この文章を何度も読みました。
    そして読書を中断して、ひたすら自分の目について、木片の見え方について、しばらく考えてみました。
    すると頭がすっきりしたような、今までにない感覚がありましたね。
    今まで、こんな事を考えた事もなかったので、めちゃくちゃ新鮮な感覚でした。
    他にも、いろいろと面白いセリフや考え方が出てきた本でしたね。

    肝心なのは、その命令を重荷と感じる代わりに、自分は好きでこんな真似をしているのだと信じ込むことである。
    これも、すごく良いと思った文章です。
    やはり自分を幸せにするのは自分ですね。

    またトマスは、ある人の視線が自分を通り抜けて、自分の後ろから出ていくのを感じた時に、自分はゼロだと思い、その後に自分の死をくぐり抜けたみたいな気分になったそうです。
    マジかよ。。。
    もっとショックだろ。。。
    俺はショックだったぞ。。。

    「目を使え、目を! わしは何も見えんのだぞ、なのに何だ貴様は『ごくあたりまえの街灯』だの『何の変哲もないマンホールのふた』だの! この世に二つと同じものはないんだぞ、馬鹿野郎。どんな阿呆だってそのくらい知っとるわい。しっかり目を開けて見ろ、あほんだら、ちゃんとわしの頭のなかに見えてくるように説明会せんか!」
    そう言われた主人公は自分が物を見る事をいかに怠っていたかを知りました。そして説明についても、ただ闇雲に言葉を並べ、詳細を伝えるでなく、なるべく早く彼が事物を把握できるようにする事だと気づきます。
    ……これって、まさに説明の真髄ですよね。
    ムーンパレスの読みやすさは、こういう積み重ねから生まれてるんでしょうね。

    顔を真っ赤にしてね、死者の眠りを覚まそうとするみたいにものすごい声を立てるんだよ。
    死者の眠りを覚まそうとする、という表現に、ちょっとドキッとしました。
    <記事タイトル一覧><気に入った文章集><グレートギャツビー><アルケミスト>
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    <劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲>

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    そしてカズキの心臓の代わりに動いている核鉄には、とてつもない秘密が隠されていた。
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    しかし、その危機こそが「願い」から生まれていた。
    <魔法騎士レイアース>

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    そして1000年以上も前から続く戦いに終止符を打つ。
    それは魔法と科学の融合だった。
    <魔法使いの弟子>

    死に場所を求めていたミミズクが、美しい魔王に食べられたいと願い、夜の森に入る。
    <ミミズクと夜の王>

    登場人物が全員キチガイで、SEXしまくりで近親相姦までするし、道徳的な観念が全くない。
    そんな高校生たちの青春の日常。
    <ROOM NO.1301おとなりさんはアーティスティック!?>

    殺人を強制される精神状態になった優しい人が恋をする。
    その気持ちに共感し、次の行動が読める刑事がいた。
    しかし刑事は、もう刑事としての仕事を行いたくなかった。
    <レッド・ドラゴン>

    ゴミとも呼ばれるような男が、ボクシングを行い、恋をして、自分がクズでない事を証明する。
    <ロッキー>

    アシタカは、人助けでもらった呪いで、故郷を追われる。
    そして呪いの根源を発見するも、そこでは苦しみながらも一所懸命に暮らしている人たちがいた。
    <もののけ姫>

    かつて大切な仲間を失い、それ以来ずっと仲間割れをさせてから人殺しをしてきた男。
    そこに堅い絆で結ばれた海賊団がやってきた。
    <ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島>

    敵対する両家。その子供同士が恋に落ちる。
    それが世界の崩壊すらも引き起こす大問題に発展してしまう。
    <ロミオxジュリエット>

    盗難事件を潜入捜査しているつもりだったが、犯人を尊敬し、犯人の妹に惚れ、カーレースの魅力にとりつかれ、犯人の逃走を手伝ってしまう。しかし、それは失恋を意味していた。
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