2014
    03.10

    負けに不思議の負けなし下巻

    Category: オススメの本
    自分が二十勝する事がチームの優勝につながると考えるタイプと、
    優勝する為には自分が二十勝しなければならないと考えるタイプ。
    その違いや、それがチームにもたらす影響について色々と書かれた本でした。

    また最後には、森昌彦さんや西本幸雄さんや下田武三さんとの対談も載っています。
    「上巻」に比べて、少し難解だった気もしました。


     負けに不思議の負けなし〈完全版〉 下 (朝日文庫)

     著:野村克也
     今から30年くらい前に執筆された文章をまとめた本です。現在、監督やコーチをなさっている方が現役選手としてとうじょうしてます。しかし内容は古臭くなく、私のようなニワカには新鮮な本でした。


    ≪内容≫
    最初に「リーダーになれる人間、なれない人間」について書かれていました。
    ベテランになっても若手に小言も言えない選手は、どうあってもリーダーにはなれない。
    逆にサボっている選手を見つけると「しっかりやらんか」と、つい言ってしまうような人間はリーダーに向いているという話でした。

    私も、なかなか他人に小言を言えないタイプでしたが、損してばかりで、言える事は言った方がいいなぁと最近は思っています。

    アメリカでは、上司に対しても「間違ってませんか?」などと気軽に言えるそうです。でも日本じゃ難しい一言ですよね。
    だからアメリカは起業家が多くて、日本は「和」を重んじるようになったかもしれません。

    そして、この年は王貞治さんが巨人の監督になった初年度だったそうで、采配をふるう監督心理についても書かれていました。
    活躍した人の思考方法は、おおむね自分中心だそうです。みんな自分を軸にして地球が回っていると思っている。これ自体に問題はないが、他人に要求したり指導したりすると事態が複雑になる。
    「自分に打てたのだから、彼にも打てるはずだ」
    これのせいで王監督は苦労されたようです。

    また王監督がデータを重視し過ぎて、選手を駒のように変える采配について、苦言を呈されていました。
    選手は駒ではなく人だから、その気持ちを考えて采配しないと選手は力を発揮できない。「歩」を「金」にする采配をしなければならないのに「金」を「歩」にしてしまっている、という表現が印象的でした。

    それと「タイトル料」という契約を良くないと言っていましたね。
    私は、これは選手の当然の権利だと思っていました。
    でも読んでいるうちに、考えが変わりました。
    三割打ったからとか、タイトルを取ったからという理由で給料をあげてはダメです。もしタイトルを取ってもチーム成績が悪ければ減俸。タイトルを取らなくてもチーム成績が良ければ昇給。こうしてこそ、チームは一丸となってペナントレースに挑めます。

    個々の成績で年俸を査定し続けたら、チームは空中分解し、長い低迷に陥るでしょう。
    2003年から2011年にかけての横浜ベイスターズの低迷も、これが原因だったように思います。
    タイトルを獲得する選手は何人もいましたが、チームは毎年のように最下位でした。
    やっぱり野球はチームスポーツですね。

    そして打者の駆け引きの中で「やられた球を狙え。打てた球は捨てろ」という格言があるそうです。

    野球ゲームなどでコンピューターばかりを相手にしていると、つい打てる球ばかりを待ってしまいますが、これでは成長もしませんし、対人戦では対策されてしまいますよね。
    これは格闘ゲームでも使えそうな格言です。逆にカードゲームや麻雀では使えないっぽいですね。

    一応「手札を読まれないようにデッキを組め」という私が作った格言にも似ていますが、少し違っています。
    カードゲームが主戦場である私にとって、かなり新鮮な格言でした。

    麻雀では、なるべく同じ役では上がらないように意識していますが、運の要素の高いゲームですからね。野球とは違います。
    次に友達とゲームで対戦する時は、やられた行動に山を張ってみたいですね。

    そして「緩急」について、勉強になる事が書いてありました。
    一般に「緩」と言えばカーブやチェンジアップ。「急」と言えばストレートです。
    しかし野村克也さんは緩急にはフォームもあると書いていました。

    そういえば投球モーションに入ってからリリースまでの時間が一定でない投手って結構いますよね。
    ランナーがいない時にもクイック投法を使った例も何度か目にした覚えもあります。
    投手は同じリズムで投げてはいけない、と言われますが、フォームにも工夫が必要なようです。

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    ≪内容2≫
    「進塁打を打つ事=チームバッティング」という固定観念を否定されていました。
    私も同じ意見ですね。
    まだ私は野球を見始めて日が浅い人間ですが「いや、ここはホームランを狙うのがチームバッティングだろ。ここで打てなきゃ逆転する機会はなくなるぞ」と思う場面があります。
    そういう場面でライト打ちに徹したり、四球狙いでファールばっかり打ってる選手を見るとイライラしちゃいますね。
    そりゃ引きつけて流し打ちしたりファールしてたりすれば出塁できる確率も上がりますし、個人成績も良くなります。でもチームの勝率は上がりません。
    そこから下位打線に行こうかという打順ならなおさらです。

    日本人打者は、なぜか後ろへ繋ごうという意識が強くあるようです。
    これ自体は悪い事ではありませんが「オレが決めてやる!」という選手に出てきてほしいですね。
    もしかしたら日本サッカーの得点力不足も同じ精神が原因かもしれません。

    そして小柄な打者に対する投手の心理が勉強になりました。
    大柄な打者には、フトコロを攻めてから外へ、などと目的をもって投げるが、打者が小柄だとインコースも甘くなる。それを確実に打てば、小柄な打者でもプロでやっていけるそうです。

    同じ話ですが違う角度として、打てなくなってきた原辰徳選手について「スランプではなく実力だ」と書いてありました。
    これは、原なんか大した選手じゃないという意味ではなく、すごい選手だからマークされているという感じでした。
    殴った方は覚えていないが、殴られた方は覚えていると書中で例えてある通り、相手に弱点を調べられ、長所を封じられたから成績が悪くなったそうです。これはスランプとは違いますよね。

    以前「未熟者にスランプはない」という言葉を目にして、じゃあ俺にはスランプはねぇじゃん。頑張れば結果は出そうだな。と楽観しした私ですが、成熟しても対策されればスランプじゃないし、大ベテランになればスランプではなく年齢による衰えだと言えるような気がします。
    この世にスランプなんて存在してないかもしれませんね。

    また「監督の仕事は、褒めるか叱るかだ」みたいな話もありました。
    選手側も、そのバランスを見極めながら監督を理解していく。そして叱る時には本音が出てしまう。
    これは人の上に立つ者にとって、大切な考え方だと思います。

    そしてヒットエンドランの中毒性についても書かれていました。
    たまに、馬鹿の一つ覚えのようにエンドランを多用する監督がいますね。そういう監督は、エンドラン中毒になってしまっているそうです。

    野村克也さん曰くエンドランの成功率は一割ちょっと。
    しかし決まれば試合を決定づけるほどの効果があります。
    私は、エンドラン自体を悪いものだとは思いませんが「ここで使っても試合には影響しないぞ?」という場面でのエンドランは大嫌いです。
    リスクがある分、使いどきを見極めてほしいですね。

    私が見た最も美しいエンドランは、WBC第二回大会の準決勝あたりで原監督が出し、青木が決めたライト前ヒットですね。
    高めの球を強引に引っ張ってゴロ安打を打った青木と、それを信じてサインを出した原監督を見て、私は優勝を確信しました。
    それ以来、私は原監督信者です。
    <記事タイトル一覧><気に入った文章集><負けに不思議の負けなし上巻>
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