2012
    11.11

    英国王のスピーチ

    1925年、世界人口の1/4を統治するジョージ5世は、大英帝国博覧会閉会のスピーチを、次男であるヨーク公に依頼した。
    そして失敗。

    ヨーク公は、吃音症だった。

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    そんなヨーク公は、二人の娘に想像の話を聞かせる陽気な人。しかし気が短く、プレッシャーに弱い。
    そして34年、ヨーク公はビー玉を口に含み、スピーチの練習をする。
    しかし治らない。
    いろいろな医師に依頼したが、打つ手なし。
    そこで、ある異端の医師に助けを求める。

    異端の医師は、ヨーク公を親しげに呼び、心にズカズカ入ってくる男だった。
    そして何よりシェイクスピアが好きだった。
    治療は一筋縄ではいかないが、とうてい人には見せられない方法で吃音症を治していく。

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    作中でヨーク公が「間のとり方が下手で……」と言い訳するシーンがありますが、本当にその通りだなぁと思いました。
    自分の何が下手なのか、わかっている人は多くありませんよね。

    私が子供の頃、周りには何人か吃音症の人がいました。でも私は何も感じませんでした。その子がからかわれているのを見て「ああ、そうなんだ」と認識した程度です。
    個人的な意見ですが、上記のセリフの通り吃音症と呼ばれる人は、私たちが「だからつまりね」「ってことはさ」「その……(息を吸う)」と間を誤魔化す仕草が苦手なだけだと思います。
    人と違う事をからかう人もいますが、その子は人と違うところが1つもない上にすぐ誰かが代わりをやれる無個性価値無し人間なので、気にする事はありません。

    気にする事はありません。って言われてすぐ気にしなくなるような強い心臓をお持ちの方は少ないと思われますが、私は「英国王のスピーチ」を観ながらヨーク公に「私は吃音症の王である。偉大な王となるべく公務に励むので、他の吃音症の人々も下を向かず、私のように活躍されたし!」みたいな事を言えば良いのに、とか思っていました。
    当時の英国王がこんな事を言えるはずもありませんが、私は平民なので関係ありません。
    作中、こんなやりとりもあります。
    「間が長くても良い、厳粛さが出る」
    「なら私は史上最も厳粛な王だ!」

    皮肉のようですが、物は言い様です。


    よく「イギリス人は他民族を見下している」と聞きます。
    彼らはバカにされる事を何よりも嫌い、胸を張って生きていたいそうです。
    作中には、他人どころかマイク一本に対しても堂々と背筋を伸ばして対面するように、と繰り返し言われます。決して他人に侮られるなという気持ちがいろいろな場面であらわれていました。
    時代敵で言えばナチスとソ連であり、タバコですら「神経を静め、自信を与えてくれます」と自信を支える物になっていました。

    そして自信を維持するために、常に自分に勝ち続けなければいけません。
    イギリス人が、立派なイギリス人になるためには、かなり苦労しそうです。
    かつての日本人もそうだったように、とても尊敬できる事だと思います。

    さてさて、これは映画なので、最後にとっておきの大舞台と、重要で長すぎるスピーチが待っているのですが……不安です。
    準備の時間もなく、原稿は注意書きで真っ赤っか。
    一夜漬けの受験生よりも頼りない英国王のスピーチです。

    ある意味これもホラー映画なのかもしれません。
    ハラハラドキドキの映画でした。
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