2016
    04.08

    和風総本家 日本の鋸職人「東 賢一郎」 世界で見つけたmade in japan

    Category: その他
    「つまづいたなんてもんじゃない」
    と東さんは語っていました。
    その時の目には、狂気すら宿っていたと思います。

    「使い捨ての替え刃式鋸が出て……もう、この商売はダメだということでね」

    東さんは、とても優しそうな顔をされていました。
    でも、この話をするときだけは、別人のようでした。

    「いろいろな物を切ってみた。ものすごく斬れるんだ。で安いんだ。俺の将来はこれで終わりだなあと思った。恐ろしいことが起きると思った。案の定間違いない」



    ≪あらすじ≫
    イタリア共和国、クレモナ。

    ストラディヴァリウスと呼ばれる世界最高峰のバイオリンたち。
    数千万円から数億円で取引されるバイオリンたちを修理するのに、日本の鋸が使われていた。

    その鋸の刃先は、新聞紙3枚分(0.25ミリ)しかない。

    300年前の木を大切に削り、次の300年につなげていくためには、日本製の薄い鋸が必要だった。

    日本に何度も行き、この鋸を発見したというバイオリン職人も、この鋸がどこで作られているか知らない。

    番組スタッフは帰国し、全国の鋸を取り扱う店を巡った。
    そして新潟県長岡市脇野町にたどり着いた。
    この地は、かつて60もの鋸工房が軒を連ねた土地だった。
    しかし今は、一軒しか残っていない。

    「中長鋸製販」
    ご主人は「東 賢一郎」さん。


    イタリアのバイオリン職人が、東さんの作った鋸を使っていると伝えると、東さんは「ほーん?」不思議そうな顔をした。

    「外国でしょ。日本でなくてね・・・そんなところまでいっとるかねぇ」

    東さんは、スタッフが持ってきた写真を手に、工房の隣にある自宅へ向かった。

    そして妻と娘に報告すると、言われた。
    「あんたもたいしたもんだね」

    ちょっと他人事な感じだった。
    実感がわいていない様子だ。

    スタッフは東さんの工房にお邪魔した。
    鋸鍛冶としては3代目。
    すでに職人歴39年を数える東さんは語った。

    「まっすぐに斬るには、まっすぐの鋸。歪みのない。平らでまっすぐな鋸が必要なわけだね。まっすぐにするために、鋸鍛冶はあるようなもの」

    しかし大量生産される焼き付け刃の替え刃式鋸のせいで、手作り鋸は売れなくなった。
    東さんは、イベントなど出店してもいいとされる場所なら、どこへでも顔を出した。
    それでも鋸は売れなかった。

    東さんは、替え刃式鋸に対抗できる新しい鋸の開発に励んだ。

    ある日、女性からこんなことを言われた。
    「小さい鋸はありますか?」
    その女性は、木目込み人形というものの職人で、木の小さな切れ込みに布を織り込んでいく作業があるらしい。そのために、小さな小さな鋸を欲していた。

    「私らがずっとこだわってたのは、大工さんの鋸を作っている・・・両刃鋸の頭があるんだよね。それが替え刃鋸に取られて、売れねえなってのを心から信じてなかったんだよね。小さい鋸ってのは、まったく違う業種の人が使う鋸なんだよね」

    東さんは、親指の面積ほどの鋸を作った。
    それが栄誉ある「伝統的工芸品品評会 優秀賞」を授賞した。

    これがキッカケで、東さんは超極薄の鋸を作り始める。
    薄くて、切れ味バツグン、柔軟性を保ちつつもまっすぐな鋸。
    これが細やかな仕事をする職人さんたちの支持を得た。

    そしてついに海を越えて愛用されている。

    番組スタッフは、東さんの仕事を映像に収め、バイオリン職人の方に見せた。
    そして東さんに、バイオリン職人からのメッセージを持ち帰る。

    その映像を見ながら、東さん家族は涙が止まらなくなっていた。



    ≪感想≫
    めちゃくちゃ泣いたー!!

    そしてちっせえ鋸がめちゃくちゃ切れる!!!

    おもちゃみたいなノコギリが、箱のすみっこに切り目を入れる。
    たったそれだけの映像で俺は感動して、目頭が何度も熱くなりました。

    こんなことは、ありえないことだと思います。
    でも、これが「職人」なんだなと思いました。

    一般人である私にとって、道具とは、しょせん道具です。
    でも職人が作り出す道具というものは、道具の域を超えた恐ろしい物なんだと思いました。

    なにせ職人の人生がかかっているわけですからね。
    その重みたるや凄まじいと思います。

    その片鱗を垣間見た番組でした。
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