2015
    12.08

    オトナの学校完全版 武井壮【オトナの!】

    Category: その他   Tags:favorite!!作品
    「子どもの10年をギャンブルにしないために、思った通りに体を動かせる使い方を教えてあげる。自分がやってるスポーツがどういう経済的な価値、社会的な価値を持ってるか。そんなことを2時間でも3時間でも研究した親がいますか?」
    と武井壮さんは言いました。

    いるか、と聞かれればいると思います。
    しかし多くのお父さんお母さんが、深く考えずに有名なスポーツクラブの養成機関に子どもを入れている気がします。

    「今まったく知らないことを、一カ月本気になって調べたら、自分の周りの人間よりもだいたいのことは一番詳しくなる」
    とも武井壮さんは言いました。

    調べる、ということは本当に大事なことです。


    <授業内容>
    チャイムが鳴り、生徒たちの拍手に迎えられて、特別講師がやってきた。
    「オトナの学校。特別講師を務めさせていただきます百獣の王・武井壮でございます。よろしくお願いします」

    武井壮(1973年生まれ)
    陸上競技・十種競技の元日本チャンピオンであり、
    2015年8月に、世界マスターズ陸上競技選手権(4x400リレー/40~44歳の部)で金メダルを獲得した経験を持つアスリートだ。

    テーマは、「オトナの育て方」

    どうやって生きていくのがオトナのあるべき姿なのか。

    それを話す前に、武井壮は自身の幼少期を語った。

    母はいなくて、
    父には、別の家庭があった。

    武井壮は幼い頃から、家族というものには触れられず、兄と二人っきりで生活していた。
    洗濯炊事を自分たちでやるのは当たり前。
    その上で、学校に行きたかったし、スポーツもやりたかった。

    武井壮は、勉強の成績が一番であれば、学費も全部免除してくれる学校を探して、必死に勉強をした。
    それが勉強が得意だったわけでも、大好きだったからでも、向上心があったわけでもなく「学校に行くために必要な努力」だった。
    そうしなければ、武井壮は学校に行けない経済状態だった。

    それは今のオトナが「会社に行かなければいけない」と思うことと、変わらない精神状態だったのではないかと武井壮は振り返った。

    今の武井壮は42歳。
    年齢だけでなく、収入もオトナになった。
    日本チャンピオン時代は、年収100万円に行かない程度。
    それが今や、2ケタ増えている。

    それはなぜか?


    スポーツで生きていこう。
    身体能力で、社会から逃げ切ってやろう。
    と武井壮は、小学5年生あたりから思っていた。

    ただ社会は甘くない。
    「遊びみたいな事とか、スポーツみたいな事で人生をやっていこうって言うと『そんな甘くないよ』というのが大半の見方なんですよ。ほとんどの人が失敗しますし」

    それでも武井壮は、子供時代にこれだけ我慢したんだから、オトナになったら好きなことだけをやって生きていきたいと思っていた。


    武井壮は、トレーニング理論を持ち出した。

    例えば野球のバッティング。
    それだけを練習すれば、その技術は間違いなく伸びる。
    しかし別の競技に挑むと、ド素人となってしまう。

    ここに問題があると武井壮は感じていた。

    10年間ずっと頑張ってスポーツに取り組んでも、プロになってお金をもらうことができない。
    武井壮は「まるでギャンブルだ」と語った。


    子供の頃、武井壮は「どうして毎打席ホームランを打てないんだろう?」と疑問に思った。
    コップを手に取り、水を飲むのは失敗しない。
    でもホームランを打つのは失敗する。

    武井壮は、周りの大人に聞いてまわった。
    しかし誰も、武井壮を納得させられなかった。

    「プロでも失敗する。そういうものなんだよ」
    「じゃあホームランって偶然なの?」
    「一生懸命練習して、その確率を上げるんだ」

    社会から逃げ切ろうと思っていた武井壮は、不安になった。
    「そんな偶然でしか上手くいかないものに、これから先10年かけなきゃいけないっていうのが、すごい心もとなかった」

    そんなとき、父が発売されたばかりのビデオカメラを持ってきた。
    父に撮影してもらった映像を見て、武井壮は全てを理解した。
    「俺が~~したい、と思ってできるのは、俺が見て触ることだけなんだ」

    視界から外れている身体の部分は、思った通りには動かせない。
    西武ライオンズのとある投手の真似をして投げていたつもりだけど、実際には違う。
    武井壮は、自分の身体を思った通りに動かす練習から始めた。


    そして武井壮は、日本選手権で優勝して、日本チャンピオンになった。
    それは、とても価値があることだと武井壮は思っていた。
    十種競技でチャンピオンになれば「日本の王者」と呼ばれる。
    しかし競技場から出て見れば、誰も武井壮のことを知らなかった。

    日本チャンピオンになることで、経済価値は生まれなかった。

    そんなとき、ある芸人に出会った。そして人脈が広がる。
    芸人さんたちといると、周りの人が笑って喜んでいる。
    歌手の人は、歌で何千人という数を泣かせたり笑顔に変えたりできる。

    「魔法使いじゃないですか」
    と武井壮は目を輝かせて言った。

    物事が何で価値を生むか。
    この問いに対して、武井壮は一つの答えを持っていた。

    「人が求める数」

    武井壮は、自身のポテンシャルやクオリティについて、そこそこの物があると言った。
    しかし価値はないと断言した。
    それは「求められていないから」ということだった。

    例えば日本の陸上競技。
    種目が仮に25種目だとして、男女あわせて50種目。
    それぞれの種目に全国から選ばれた50名の選手が出場する。

    日本最候補の大会に、2500人参加する。
    そして国立競技場には50000人もの観客が入れる。

    1人の選手が、たった20人だけ集客できれば、それだけの人が集まる。
    しかし武井壮は言った。
    「陸上の日本選手権が満席になってるの見た事ない。一度も」

    現実は残酷だった。
    「2500人の、その道のトップの選手が争う。日本に一度しか行われない大会を見に来るのは、ぶっちゃけ1万人もいない。ってことは、それ以下の価値しかない」


    武井壮は「スポーツのジュニア育成」について疑問を持っていた。
    ジュニア育成を増やした結果、一流の選手は増えた。
    しかし、挫折した子どもたちの数は、もっと増えたはずだ。

    多くのスポーツで、プロが成立しない理由も「見たくないから」だった。

    そういう現実を知らない子どもに、親が自分が携わったスポーツや、ただ好きなスポーツで「ジュニア育成」を行う。
    「子供は大人になったら自分のやってるスポーツがどういうことになるのか、自分が社会的な価値を生めるのかどうかもわからない波の中に放り出されて。しかも自分の思った通りに動かない体を使って、毎日うまくいくかわからない確率でスポーツをやって、トップになれるかどうかを競わなきゃいけないわけですよ」
    武井壮は「すごくもったいないな」と悔しがった。

    子どもが、自分がこれから始めるスポーツがどういう経済価値があり、それを続けていけばどういう立場になり、社会的な価値が手に入るか。
    それを大人が教えてあげることが、本当の「ジュニア育成」なんじゃないかと武井壮は語った。



    ≪感想≫
    武井壮さんは、芸能人と話すときに会話を録音・編集して、車の中でずっと聞いていたそうです。

    武井壮さんは、大人になってからでも夢は叶うんだから、人生失敗してもいいんだ。
    いつまでたっても夢は叶えられる。ほら見ろよ。オレの背中を見ろよ。
    という生き方をしたいと話していました。
    それこそが「オトナの育て方」だと。。。

    講義が終わって、泣いていたのは私だけではないと思います。

    一日一時間。私も頑張りたいと思います。
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