2015
    10.23

    もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

    Category: オススメの本
    ≪あらすじ≫
    みなみは決意した。
    「野球部を甲子園に連れて行く」
    それはもう決まったことで、あとはそのために行動するだけだった。



    みなみは、まずマネージャーとしての仕事について考えた。
    マネージャーの仕事とは、マネジメントだ。
    みなみは本屋さんに行き、マネジメントに関する本について質問した。そしてマネジメントに関して世界で一番売れている本を売ってもらった。

    みなみは本に従い、まず「顧客」について考えた。
    野球部の顧客とは、観客であり、保護者であり、学校であり、部員たちだった。

    部員たちの中には、監督に不信感を抱いている選手や、野球部という経歴が将来に必要なだけで野球をやっている選手もいた。

    みなみは顧客のニーズを知るべく、マーケティングを行う。
    そして野球部の顧客は「感動」を求めていると知った。

    続いてみなみは、練習メニューの改革に取り組んだ。
    部員を3チームに分けて競わせる。
    それとは別に、投手二人には「特別メニュー」を組んだ。

    また「打撃」「守備」「走塁」に分け、それぞれのチームに担当者を設けた。
    例えば「走塁」なら、一番走るのが得意な選手に任せ、チーム全体の走力アップの目標にしてもらう。

    さらに他の部活との協力を頼み、陸上部と走力。料理部と体作り。吹奏楽部にオリジナルの応援歌などを行った。
    そして野球部は、子供たちへの野球指導も行った。

    子供たちからの感謝の手紙をもらい、がぜんやる気を出した。
    そして大会では、大勝ちすることと、エラーをすることが目標に掲げられた。



    ≪感想≫
    読みやすい本でした。
    ばらっと読める。
    そして、ばらっと読み返せる。
    という素敵な本でした。

    あまり無駄な情報や、失敗談が入っていないので、フィクションとして物足りない部分が多かったですが、ドラッカーのマネジメントの表層を理解するには持ってこいの本だったと思いますね。

    本書を読んでからドラッカーのマネジメントを読めば、より簡単に理解できると思います。
    ただ、立ち読みでパラッとドラッガーのマネジメントを読みましたが・・・うん・・・私は起業家にはなれないね・・・


    さて、マーケティングについて面白い展開がありました。
    みなみが直接マーケティングを行うでなく、別の女の子に頼んで情報を収集する。

    これこそマネジメントだな、と思いましたね。

    以前に読んだ「上司のルール」でも出てきましたが、マネージメントをするうえで、自分が全てを管理・実行する必要はありません。
    人に頼む。
    専門家に依る。
    それが、仕事を円滑に進めるための鉄則だと思います。

    「上司のルール」の中にも、
    「失敗は自分の責任。成功は部下のおかげ。周囲をヒーローにしろ」というような話がありました。

    何でも自分でやってしまおうとする。
    これは立派なことですが、とても難しいことであり、周りに対しても結果として失礼な気がします。


    そして顧客のニーズを知ったみなみは、部員の次に、学校への貢献を考えます。
    それはマネージメント技術の提供でした。
    以前の野球部のように、部員が真面目に練習しない部活へ、よりやりがいのある練習の組み方などの知識を渡す。

    これは素晴らしいことだと思います。
    実は私はくそったれの秘密主義でした。
    自分の知識や技術を自慢しない。と表現すると聞こえはいいですが、はっきり言ってただのクソ野郎でしたね。

    今ではくそったれの自慢野郎になっていますが、孤独を愛する秘密主義者よりも、知識を隠さないバカの方が、社会に必要だと思います。
    誰かに必要とされること。
    これが、組織や個人が存在する理由ですからね。


    「練習には参加しないエースが、試合には参加する。それはなぜか?」
    という話がありました。

    みなみは、試合には、練習にはない三つの要素があるという結論に至っていました。
    「競争」
    「結果」
    「責任」

    これらを含んだ練習を組めば、みんなが練習に参加してくれると、みなみは考えました。

    そして今度はもう一人の頭はいいが人見知りな人マネージャーに、メニュー作成を頼みました。

    ドラッカーいわく、仕事を生産的なものにするには、四つのものが必要である。すなわち、
    1.分析-仕事に必要な作業、手順、道具の把握。
    2.総合-やることを集め、プロセスとして編成。
    3.管理-プロセスの方向、質と量、基準と例外。
    4.道具-人を使うことも含め。
    だそうです。


    また成功のためには、イノベーションが必要だと書かれていました。
    イノベーションを実現するためには「既存なものは全て陳腐化する」と認識するところから始まる。
    とのことでした。

    天才か!!
    と思いましたね。

    だってそうですもん!
    「既存なものは、全て陳腐化する」ですもん!!
    この発想が、何よりも大事ですよ!!

    そして「ノーボールノーバント」というテーマが決められていました。
    高校野球の常識(バント)と日本特有の配球理論(ボール球で勝負する)を「陳腐化する(せさる思考)」で、新しい高校野球の戦術を組み上げる!
    ここに活路があると思います!!

    特に、私のような時代に適合していない人間は、この思考が大切です!


    さて作中で「自分から四球を出す投手はいない」という話がありました。

    敗戦後のミーティングで、捕手からなじられたエースを、大声で監督がかばったシーンです。
    捕手は「うちのエースは最低だ。わざと四球を出すなんて!」とミーティングで怒っていました。
    そして練習をサボってばかりのエースよりも、練習熱心な控え投手の球を受けたいと宣言していましたね。

    その時、監督は大声で「そんな投手はうちにはいない!」と断言していました。
    監督とエースは犬猿の仲だったにも関わらず、監督はエースが試合を左右する致命的な四球を出したことを、かばったわけです。

    エースは、帽子を押さえて、嗚咽を漏らしながら泣いていました。

    ・・・俺も泣いた。


    また、真面目に練習しているけど下手くそな正義くんが、新キャプテンに選ばれたシーンで、不覚にも泣きました。
    マジで胸に刺さりました。

    彼は下手くそながら一所懸命に練習していました。つーか野球がうまくなることよりも、将来のために、元野球部という経歴と、人脈作りのために野球をやっていました。
    しかし手抜きはなく、起業家を目指す正義くんは、もっと良い野球部にするためにアイデアを出し、実現に向けて協力し、マネージャーと部員の仕事を両方行っていました。

    実力から考えて、ベンチ入りもできないだろう。
    そう考えていた正義くんは、新キャプテンに任命されて、、、部員たちから拍手を送られて、、、涙を新しいユニフォームで拭いていました。

    泣くわー。。。
    泣かしてきよるわー。。。

    しかもこれが、みなみちゃんの策略だといつのですから、すごいです!
    もっとも野球部に貢献した正義くんを、人事というかたちで評価する。
    これほど彼を評価する方法は、なかったと思います。


    そういえば甲子園をかけた試合で「ここまで戦ってきた中で成績が悪かった選手を代えようか」という話が出ていました。
    そしてみなみは「代えない」と断言していました。

    他人への期待を忘れない。
    他人に失望しない。
    その気持ちを忘れたら、マネージャーとして、上司として、ひとりの人間として、終わりだと思います。


    さて、あらすじではカットしましたが、夕紀ちゃんという女の子が登場していました。
    入院している子で、みなみちゃんたちが甲子園に向けて勝ち上がっている途中で、亡くなってしまいます。

    ……死ぬ必要あった?
    いや全然、死ぬ必要なかったと思うけどな!

    ぶっちゃけ亡くなったシーンで泣いたんですが、そんなことはどうでもいいくらい変な気持ちです。

    一応、みなみは野球が大嫌いで、夕紀ちゃんのために野球部を甲子園に連れて行く。と決めた設定でした。
    だけど最後は、みなみは野球を好きになっていた。。。

    これを演出するのに、人ひとりの命を亡くすのは、ちょっと反対です。
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    <気に入った文章集><上司のルール>
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