2015
    02.07

    東大卒プロゲーマー 論理は結局、情熱にかなわない

    「ときど」という名前で知られている格闘ゲームプレイヤーが書いた本です。
    プロ転向後の話も、書いてありましたが、あらすじが長すぎてカットしました。

    面白い本を読んだときは、ついつい長く書いてしまいます。
    読みにくくてごめんなさい。


     東大卒プロゲーマー 論理は結局、情熱にかなわない (PHP新書)

     著者:ときど


    ≪あらすじ≫
    「ときどは、強いけど、つまらない」
    世界大会における優勝回数が世界一の僕は、この言葉を気にも留めなかった。
    でも人生はうまくできている。
    僕がつまずくとき、原因はこの一言に集約されていると、認めざるを得なかった。

    僕は、東京大学工学部マテリアル工学科を卒業、同大大学院に進学し、プロゲーマーとなった。
    論文が国際学会で賞をとり、公務員試験の最終面接まで余裕綽々で進んだ。
    しかし今、僕の仕事は格闘ゲームのプロだ。

    「東大まで出て、なぜプロゲーマーなのか?」
    かれこれ数百回は聞かれてきた質問に答えよう。

    僕は東大時代に、人生の暗黒時代と呼べるような時期を経験した。
    「合理化や効率化こそが成功への近道」と固く信じていた価値観が、すべて崩れ去った。
    そして、プロゲーマーの道を選択した。

    そもそもプロゲーマーとは、国内外の格闘ゲーム大会に参戦し、賞金を稼ぐ仕事だ。
    僕は現在、月1ペースで海外に遠征している。

    ここ数年、海外での格闘ゲーム市場は目覚ましい成長を遂げている。
    現在、世界最大の格闘ゲーム大会は、ラスベガスで開催されるEVOだ。
    世界中から数千人のプレイヤーが集まり、しのぎを削る。
    それを世界中から10万人以上がリアルタイムで中継を視聴する。

    それだけ注目される中で活躍しなければならない。
    そのために、1日の最低8時間はゲームの練習に費やす。

    僕にとってゲームはフルタイムの仕事。「8時間ゲームをしてる」を「8時間仕事をしてる」と言い換えれば、案外たいしたことはない。大会前など、残業が当然だ。

    また対戦カードが決まっている場合には、相手プレイヤーの研究も行う。

    大学生時代、僕は「アイスエイジ」を拝命し、ときに「tokido with the murder face」とコメントされた。
    勝てば官軍、それが一番いいプレイだ。
    ひたすら勝ちに徹したい。
    しかし合理化を蹴り飛ばして、僕はプロゲーマーになった。

    プロゲーマーとしての僕の人生を切り拓いたのは、冷静さでも合理性でもない。身を焦がすような情熱と、尽きることのない闘争心だった。

    僕の格闘ゲーム人生は、沖縄に住んでいる年上の従兄との対戦から始まった。
    友人との対戦なら、数を重ねるごとに差が縮まる。
    しかし従兄には歯が立たなかった。
    そして世の中には、もっと強いプレイヤーがいるらしい。

    それまで「誰かに負ける」を経験してこなかった僕にとって、衝撃的な出来事だった。

    強敵を前にして、僕は嬉しかった。
    そして格闘ゲームに打ち込んだ。
    「いい成績とれたら、新しいソフトを買ってあげる」
    「ゲームを買ってくれるなら、もっと頑張ります」

    我ながら実にまっすぐな少年だ。

    そして麻布学園に進学し、ゲームで先輩たちをボコボコにした。

    相手の鼻を折るのに夢中だったわけではない。
    ただ、勝つのが気持ち良くてたまらなかった。
    勝ちたくて仕方がなかった。
    とにかく純粋に勝ちたかった。

    そして大学受験を前にしながら、世界大会へ赴き、世界一に輝いた。
    その後、大学受験の重圧に負け、ストレスから体調を崩した。
    受験は失敗。
    しかし翌年には合格できた。

    大学時代は、プレイヤーとして結果を出した時期だった。
    ただ4年生のときは、研究にハマってしまい、ゲームから離れた。
    そのときに書いた論文が、国際学会でポスター賞をとった。
    それはゼミにいた博士研究員のおかげだった。

    博士研究員は、類稀なる情熱家だった。
    成果を残せる人間と、そうでない人間の違いは何か。

    答えは情熱だ。

    飛行機を作った人たちだって、やれと言われて、あるいは惰性で、飛行機を作ったわけではないはずだ。
    鳥のように大空を飛んでみたくてしかたない。
    もっと遠くのあの国へ行ってみたい。
    もっと速く、海のむこうのあの人に会いに行きたい。
    そんなたくさんの情熱によって、今の飛行機の姿があるはずだ。

    自分のなかに情熱の火がなかったら、時間もかけられないし、集中もできない。
    試行錯誤も生まれない。いい物が生まれる可能性も低い。
    また、情熱がある人には、情熱のない人にはないメリットがある。

    人からの援助だ。
    情熱は、人に伝染する。
    情熱は松明のように周囲を明るくして、人を呼び寄せる。

    しかし僕は、大学院入学試験で弾かれ、情熱の行き場を失った。
    一緒に燃えてくれた博士研究員も別の大学に移ってしまった。
    そして僕は死体になった。

    公務員という安定に、癒しを求めるほど死んでいた。
    しかし最終面接まで残るあいだに「この仕事はしたくないし、この人たちと働きたくない」と確信しただけだった。

    そんなとき、ウメハラに出会った。
    ウメハラは、日本初のプロゲーマーであり、日本の格闘ゲーム界が誇る史上最強のプレイヤーだった。

    プロゲーマーという何もない平原に一人で立つ。
    一寸先は闇。
    そのウメハラの側に、必要とされている気がした。

    そして2010年9月、突然アメリカの企業から、スポンサー契約の話が来た。
    それは到底、生活していける契約内容ではなかったが、僕の「心」は決まっていた。
    このまま格闘ゲーム界が発展していけば、東大卒の肩書きが役に立つ日も、きっと来る。

    プロゲーマーという暗い道のりを照らす情熱の火が灯っていた。



    ≪感想≫
    ウメヌキを倒して優勝して、有頂天になった。それが良くなかった。

    という話が出てきましたが、いやいや。有頂天になるでしょ!
    ウメヌキといえば、当時の世界最強タッグだと聞いていますよ?
    それを倒したら、そりゃ喜び爆発でっしゃろ!


    さてEVOでは、3日間ほぼ休みなく、試合が行われます。
    もちろん寝る時間も用意されていますが、大抵のプレイヤーは、仮眠しかとらないようですね。
    理由は「寝る間も惜しんで対策するから」です。

    しかも、ときどさんは新旧問わず、ありとあらゆる格闘ゲームに手を出しているため、マジで寝る暇がありません。
    そのために、ときどさんはジムに通い、3日間ほぼ寝ずに戦えるだけの体力をつけているそうです。

    ……プロだ。
    と私は思いました。
    いやプロなんですけどね。

    ちなみに、ときどさんは朝起きてすぐジムに行くそうです。
    やっぱランニングは早朝かなー。


    そしてときどさんは、格闘ゲームに持ち込める武器として、四つの要素を挙げていました。
    「操作技術」
    「反射神経」
    「読み合い」
    「戦術構築」

    だそうです。


    さらに、ときどさんは格闘ゲームと受験の対策を以下のようにまとめました。
    「自分がやらなければいけないことを絞り込み、それを徹底的に反復練習する」
    ゲームでは研究と対策。
    受験でも、傾向と対策です。

    ・・・なんか仕事でもだなー。
    そして私は、これが下手だからバカなんでしょうな。
    自分ができることしかできない、みたいな思考停止感があります。


    また、こんなことも書いてありました。
    「偶然を、単なる偶然で終わらせるな」
    現象には理由があり、可能性がある。
    さらに「単なる偶然に頼る」ではなく「偶然を見逃さない」という姿勢にならなければいけない。

    これは「準備をしてない人に勝利の女神は微笑まない」みたいな格言と同じですね。
    これも私はできてないっす。


    さて、ときどさんが生ける屍となったとき、ときどパパさんが、こういったそうです。
    「人間関係に問題があるんじゃないか?」
    つまり「おまえにはもうそこに居場所はないんだから、早く辞めて新しい道を探せ、という話でした。
    そして、ときどさんも「その通りだ」と思ったそうです。
    素晴らしいお父さんですね。


    おちびさんってときどさんの同級生だったんかー!
    と驚きましたが、冷静に思い出してみると、顔TV!というネット番組で話をしていましたね。
    すっかり忘れてしまってました。

    と思ったらMOVさんもかよー!
    これは知らんかったー!
    びびったー!


    そういえば空気読めないときどさんが、空気読めない自分としての考えと反省の文章がありました。
    マジで私は、胸をうたれました。
    目頭が熱くなり、鼓動が早くなりました。

    ということで引用して終わります。

    「ゲームで対戦するキャラを叩き潰すことにこそ何のためらいすら感じなくとも、その後ろには操る生身の人間がいて、みなそれぞれの感情や考えをもってゲームに向きあっている。それは決して忘れるべきではなく、尊重しなければいけないことなのだ」
    【click!】
    <記事タイトル一覧><気に入った文章集>
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